『ガリーボーイ』“GULLY BOY” 【感想/試写会レビュー】
映画「ガリーボーイ」を観る前に!
サクセスストーリーでさっぱりしつつも
社会的な問題も写している。
先週10月9日に、18日から公開される映画「GULLY BOY/ガリーボーイ」のJ-WAVE試写会へ行ってきたので、紹介します。
実はボリウッド映画を最後までちゃんと観たことがない(インド料理屋の店内で流れていた歌って踊る系のをボーっと観てたくらいだし、「きっと、うまくいく。」は尺長すぎて途中で断念...)ので、本作が正式なボリウッドデビューです。
観る前に知っておいた方がいいなと思ったことがあったので、少しまとめます!
押さえておきたいインド文化の基礎知識3つ
スラム街
インドへは行ったことがないので実際に目にしたことはないのだが、インドの首都ムンバイの空港近くには広大なスラム街があり、主人公が暮らすこの映画の出発点は、その中でも最大のスラム街であるである「タラヴィ」というエリア。小屋のような家屋、バラックがひしめきあっていて、日本から見るとホームレス地区的な印象であるが、彼らはホームレスとは違い、最低限の生活水準を得ている。公共交通を使い、大学へ通い、スマホも持ち、近所の子供はYouTubeで動画鑑賞しているのだ。「貧困街」、「スラム街」と聞くと、かなりヘビーなホームレス的な生活環境をイメージしてしまっていた私にとって、この映画に写されたタラヴィはかなりギャップがあり、初め戸惑った。
身分制度
学校で習う「カースト制度」の存在が有名だが、これは現在はそれほど強くは残っていない。しかしそれは格差社会に形を変え、未だ根強く身分意識があり、国民もそれに準じていることがストーリーの中で垣間見えた。
本作で言えば、雇われ運転手の息子と、個人診療所ドクターの娘であるヒロインとではは身分が違うと捉えられているようだ。(しかし、この身分の差も日本人からすると、瞬時に生活環境や服装から判断できるほどではなかったから難しいところ。ボリウッドデビューということもあり、インド人の識別能力が低く判断力に乏しいこともあるが...)
スマホはスラム街では誰でも持っているけれど、iPadはお金持ちのヒロインだけが持っていることなど、身分差を匂わせるシーンなどから考えたが、そのヒロインもスラム街の人々と同じように公共交通機関を使っていたので、貧富の差はそこまで大きくないのかもしれない。
言語
インドは多言語国家だが、本作の中では英語とヒンディー語のミックス。8割ヒンディーで、英語がところどこでてくる感じでした。
本作を観る前にこれ知っておきたかったなって思ったのは主にこの2つ。これからのボリウッド映画の基準になるインド文化の価値観を本作は比較的優しく教えてくれたと思います。
さて、映画自体の話に戻りますと、私はラップもヒップホップも全く詳しくなかったので、いわゆる「のり」についていけないことはあったけれども、理解できなくはなかったといったところ。そもそも、この映画はインドのアーティスト、Neazyの実話をベースにしたサクセスストーリーだからとてもスッキリしていてわかりやすい展開です。
ラップシーンも、おそらく本来作品が持つ表現力の1割も理解できてない私が観ても、緊張感が伝わってきたのは確かで、一緒に鑑賞したラップに詳しい友人も「バトルシーンは拳を握りしめて観ていた」とのこと!
作家・クリエイターのいとうせいこうが日本語字幕を監修しているのも注目みたい。
これは、かなり骨折りな仕事だと思う。外国語のラップを字幕に直して、韻まで伝えないといけないから。そもそも言語の違う国のラップの映画を観るというのは、ヒップホップやラップに詳しい日本人にハードルが高かったりするのでは?と考えてしまうが、ラップバトルの雰囲気とインド旅行気分を味わうだけでも、十分楽しめたし発見がありました。
(私の場合、Rotten Tomatoes 満足度100%とか、高評価を売り文句にされると、途端にハードルが下がってしまうので、あまり期待せずに観たのがよかったのかもしれませんね)
STORY
ムラド(ランヴィール・シン)は、雇われ運転手の父を持ち、スラムに暮らす青年。両親はムラドが今の生活から抜け出し成功できるよう、彼を大学に通わせるために一生懸命働いていた。しかしムラドは、生まれで人を判断するインド社会に憤りを感じ、地元の悪友とつるみ、内緒で身分の違う裕福な家庭の恋人と交際していた。ある日大学構内でラップをする学生MCシェール(シッダーント・チャトゥルヴェーディー)と出会い、言葉とリズムで気持ちを自由に表現するラップの世界にのめりこんでいく。そして“ガリーボーイ”(路地裏の少年)と名乗り、現実を変えるためラップバトルで優勝を目指す事を決意する。
フライヤーはこちら
フライヤーを載せておきます、見る前に気分を上げていってください